笑顔が絶えない里で、和気あいあいとした田舎暮らしです(中辺路)
- インタビュー記事
- 中辺路エリア
2019.03.03
- 柏崎さんが中辺路地域に移住されるまでのことをお聞きしたいのですが。
- 生まれは神奈川県です。中学まで神奈川で育ちました。高校・大学と北海道へ行き、それから大阪で仕事をして、その後 長野へ移り、馬の牧場で働きまして、そこからこちらの田辺市の中辺路に引っ越してきました。
- 田辺市の中辺路に来られるというのはどういう経緯だったのですか。
- 私が高校生の頃に、両親が先に和歌山の方へ移住してきまして、その後私が何十年後かに追いかけてこちらに来たという感じですね。
- それはどういう理由でこちらに来られたのでしょうか。
- ここ中辺路町高原(たかはら)に新しくホテルが建つということで、当時私の父親がちょっと関わっておりまして、新しい立ち上げスタッフとして若い子がいないか。ということで私が呼ばれたんです。
- 白羽の矢が立ったと。
- そうなんです。
- 柏崎さんご自身にその時 移住への抵抗などはありませんでしたか。
- 特にはなかったですね。その前に田舎というか色々なところに行っていましたので、場所には拘りがなく、普通にすんなりと受け入れられましたね。特段何かをしよう。と考えていたのではなく、仕事があるから来たという感じですね。
- 中辺路に住まわれて何年位になるのでしょうか。
- 今で大体12,3年になりますね。
- そんな柏崎さんですが、現在は ここ中辺路町高原地区でゲストハウスを経営されていらっしゃいますが、その経緯というのは?
- ホテルで働いていた頃は、時間が普通のサラリーマンと一緒ですので、自分の使える時間を増やしたいなぁと思ったんです。
子供がいますので、子供と一緒に居られる時間を増やしたいなということで、自分でコントロールできる時間を作るために自分で宿をやろうかと。 - この中辺路の高原地区は、観光スポットとしても人気だと思いますが、海外からのお客様も多いと聞きました。
- ここ3,4年は外国の方が本当に多いですね。宿へ宿泊されるのも9割以上は外国の方になっています。
- その方々の目的というのはやはり熊野古道ですか。
- ほぼ熊野古道巡礼ですね。
- 中辺路に住まわれて10年以上が経ち、この地区での関わりというのも色々とあると思いますが、どうでしょうか?
- 地区の皆さんで高原熊野神社の境内のお掃除をしたりですとか、道の草刈り、後は年に何回かゴミ拾いですとか、そういう行事。後はお祭りが年に何回かありますので、地域の皆で集まってお餅を作ったりとか。そういう感じですね。
- よく山間部や山村地域というのは過疎で若者が居ないと聞くのですが、この地区はどんな感じですか。
- この地区もそれと同じで限界集落と呼ばれている地区になります。でも、この辺りは、今は若い人がかなり全国から移住してきています。
結構若い人達の元気な力が、地区のお年寄りにできないこと等、助け合いながら皆で楽しくやっていますね。 - 年齢構成としてはどんな感じですか。
- ほぼ70歳代以上の方が多く、そこに30,40歳代の方が移住者として増えてきていますね。
- 70歳代で元々住まわれている方と、30,40歳代の移住されてきた方との関係性はどんな感じですか。
- 皆仲良くやっていますね。結構地元の人が若者の知らないような大きいカニを捕まえてきて、どうだこれ凄いだろうとか。食べてみろとか。猪とか鹿が取れたら皆で焼肉をしたり。
そういう会には結構頻繁に呼んでもらいます。お互いに打ち解けようとしている感じですね。 - 高齢になってくると地区のお掃除や草刈りなどは大変になってくると思いますが、移住してこられた世代の存在が頼られている面もありそうですね。
- そうですね。体力的な作業とかは若者が中心となってやっていますね。
- そういう関係性であれば、移住されてきた方と昔から住まわれていた方の隔たりなどはあまりないですか?
- 私は感じたことはないですね。この地区は、昔から熊野古道巡礼の旅人がよく来ていたので、おもてなしを昔からしていた人が今も住んでいますので、他所から来る人をウェルカムというか、歓迎するという風潮があるみたいですね。
- 事実、近年増えてきた海外からの観光客の方々に対しても、最初は「ちょっとどうしようか。話が通じないなぁ。」とか困惑した部分もあったみたいですが、今は70歳のおじいちゃんおばあちゃんも慣れてきて、英語はしゃべれないですが日本語でどんどん喋りかけて、お互いにそれでも通じ合って笑い合っていることもありますので。地元の人もわりと分け隔てなく、交流を楽しんでいるかもしれないですね。
- 開けっ広げというか、人見知りをしないというのがこの地域の魅力ですね。
- そうですね。特色ですね。外国の人も、地域の住民も、それが例え若かろうが、年をとっていようが、皆フレンドリーで笑顔が絶えない里ですね。
- そういう地域にお住まいになられて都会暮らしでは味わえないことといえばどういうことがありますか。
- 私には子供がいますがので、子供に土いじりをさせたり畑で泥んこになって遊ばせたり、虫も家から一歩出たらなんでもいますし、車通りも少ないのでそのまま子供だけで外に出てもそんなに危険じゃないので、のびのびと子育てできるのが都会には無い魅力です。
- 逆にこういうところはなかなか大変だなと感じることはありますか。
- 基本的に中辺路は、やはり人が優しくて住みやすいところです。景色も素晴らしいですし、閉鎖的かというと、旅行者の方とか海外からも色んな方が来られるので閉鎖的でもないですし、非常に住みやすい町だと思いますね。
- 不便といえば色々な施設まではちょっと遠いので、高齢になって車を運転できないなどは、ちょっと買い物や病院に行くのが大変になるかなと。
- そういう意味では、今現実に直面している70、80歳代の方々にとって、移住してきた若い世代の方との交流というのは大事になってきますよね。
- そうですね。市街地でコンサートがあるから私も行きたいわ。という時などには皆さん一緒に、若い人が運転して連れて行ってあげるとか、何かあったら車を出せる人が出すとか、そういうお付き合いは多いですね。
- 地区全体が一つの家族みたいな感じですね。
- そういう感じです。
- 今日はあの方見かけないなとか、心配なさることも?
- そうですね。最近顔を見せないけどどうしたのかな、とか。気になりますね。
そういうときでも気軽に家に行って挨拶したりできる間柄になっていますので。 - ところで、「理想の田舎暮らし」というと、どうしてもイメージするのは、ゆったりと、ゆっくりとした時間を自然の中で暮らす。人生を謳歌したいという方も多いと思いますが、実際の田舎暮らしとはどんな感じですか。
- 結構忙しいですね。色々とやることは多いのですけれども、今日やらなくても明日やればいいやという部分もありますので、そんなにせかせかしてやるということではないのですが、草刈りから全て自分でしないといけませんし、体力的にはやはりよく使いますね。体力勝負というところはあると思います。
それに何か壊れたら自分で修理するとか、そういう作業が結構多いですね。ある意味サバイバル能力も必要ですよ。 - 柏崎さんが今後この地でこういう風に暮らしていきたいなとか、家族でこういう風にやりたいなというような、展望はありますか。
- 私はもっと子供がいっぱい増えて、地域の人たちも若い世代も年寄りの方も皆和気あいあいと、田舎ですけれど、田舎・都会の区別なく誰でも歓迎できるような雰囲気の中で暮らしていきたいと考えています。
- 中辺路には、熊野古道がありますし、景色も最高です。この緑と、綺麗な空気を吸っているだけで、健康になるなというのは感じますよね。やはり目が覚めてから何を一番最初に見るかというと、この緑が目に入ってきますので、文句なしに気持ちが良いですね。
また、夜の星の綺麗さであったりとか ここで住んでいると本当に地球の中で生きているということを実感できると思います。
結構この土地に住んでいる人はそれが当たり前になってきてしまってますが、都会から移り住まれたらきっと、びっくりされるのではないですかね。 - ありがとうございました。
- ありがとうございました。