クラウドソーシングでの仕事を自然豊かな地域で始めました(田辺)
- インタビュー記事
- 田辺エリア
2019.03.05
- 森脇さんご自身、田辺市に来られるまでの生活や、経歴を教えていただけますか?
- 福井県の勝山市出身で、大学進学で福井県を出て、その後就職で東京に。そこからは10年近く東京や千葉に住んでいて。
そこで主人と出会って結婚して、子供二人までは東京の杉並区で育てていたのですが、子供たちが大きくなるにつれて、やはり東京の、狭苦しいというか、子供たちが遊ぶ場所もないし・・・ - また、自分自身が田舎生まれなので、田舎での育て方しか想像できなくて、なんとなく田舎に行きたいなと思い始めていた部分と、後は当時、お仕事をくださっていたTETAUという田辺市にあるチームに何回かお仕事で呼ばれているうちに、田辺市を凄く気に入って、住みたいなというのがきっかけで家族4人で越してきました。
現在は、田辺市に来て、もう一人産んで5人家族です。 - 森脇さんの場合は首都圏からこちらに移住されたのは、仕事が縁で田辺市と繋がってということなのですが、やはり田舎に定住する上で、一つネックになるのは仕事の部分だと思いますが、移住と仕事という事についてはどのようにお考えですか。
- 私はフリーランスのデザイナーで、インターネットでのクラウドソーシングという仕組みを使った仕事をし始めており、インターネット上でお仕事ができる、ということが分かっている状態だったので、多分色々な所に住むという可能性は感じていたのですが、どうしてもインターネット上のお仕事とはいえ、東京からのお仕事が多いので、打合せに来て下さいと言われてもすぐに行けるという環境から離れるということに凄い不安がありました。
- でもフリーランスであり、別に雇用されたわけではないので、こちら(田辺市)に来たら、「これだけお仕事をしていただきますよ。」とか、「これだけ報酬を差し上げますよ。」と言われたわけでは無いのですけれども、TETAUというチームがあって、その人達と一緒に仕事ができるかもしれないな、というのが かなり私にとっては大きな一歩を踏み出す力になったのかなと思いますね。
- 今の若い世代の方にとって、仕事以外でも日常生活、例えば買い物や色々な情報の入手にいたるまで、インターネットの環境が整備されているのかが、ポイントになるように思いますが、その辺りはどうお考えですか。
- 最初に田舎で家を探す時からインターネットを不自由なく使えるというのは必須条件で探していました。
でも、実はこちらに来てから身近な暮らしの情報はインターネットで探さなくなりました。というのは、今住んでいる周辺の情報がインターネットに上がってなくて(笑)・・・ - それこそ地元の新聞や、口コミの情報が役に立ちます。どこのお店の品物が良いのかな?等、地域のお友達などから聞いたりすることの方が多いというか、そうしたローカルの情報はあまりにもローカル過ぎてインターネット上に出てこないので(笑)・・・
そういう意味では、地域にインターネットは必要ない。とまでは言えないですが、ただやはりお仕事となってくると、逆に私が移住者という、ある意味、余所者であることを活かそうと思うと、この地域にこれまでなかった物を提供する。ということが、やりたいことだし、一つの自分の使命と言えば大袈裟ですが、やらなければならないことかなと思うので、そうなると完全に都会や世界から遮断された状態だと、どんどん私の情報は古くなっていきますので、インターネット上だけでも繋がっていれば、新しい情報も得ることもできますし、そうすることで地方や地域に貢献することができるのかな、と思っているので。 - そういう視点で考えるとインターネットってとても大事だと思っています。今でも東京の人達と繋がっていられるのも やはりインターネットがあるからで、わざわざ電話とかは頻繁にしませんが、SNS等を使ってやり取りしてますし、寂しさもないですね。どこに居てもSNSで繋がっていて。前と同じように会話したりしています。
- 東京で暮らしていた時よりもむしろ田辺市へ移住してからの方が私たちに興味を持ってくれる人達も増えて、そういう方々とやり取りすることも多いですし、移住者にとってはインターネットというのは欠かせないツールの一つかなと思っています。
- インターネット上ではなく、リアルな田舎生活についてもお聞きしたいのですが、都会暮らしの方が、買い物等は しやすいようにも思われます。でも、田辺市に移住された方にお聞きしてみると、意外なことに、逆に都会の方が買い物に行くのが大変だった。と聞くのですが、森脇さんの場合はどうですか。
- 最初に引っ越して来たときは不便というか、買い物に行くのも必ず車に乗って行って、しかもホームセンター、スーパーとか商店とか、色々な所を転々としなければいけないので、買い物するだけでもすごく時間がかかって。「これは、どうやっていけばよいのだろう。」って思ったことも有ったのですが、単純に都会との暮らし方の違いだと気づきました。
- 今では週に1回だけ買い物に行って買い溜めするスタイルになったのですが。都会のスタイルと田舎のスタイルがあって、自分がどういう風にやっていけば良いのかが分かりさえすれば、不便さは全く感じないですね。むしろ近所の方から、「今釣ってきたよ!」とお魚を頂いたり、お野菜もそうですし・・・ある程度 食糧などに関しては待っていたら届くという部分もありますし(笑)・・・
あとは家庭菜園をしているので、すぐに野菜を調達できますし、田辺市の気候なら、育てたまんま しばらくは畑に置いておけるので・・・
そういう意味では、都会だと新鮮なものや良いものを手に入れる為には労力を使わなければならないのですが、今では本当に獲れ(採れ)たての、海から上がった新鮮な魚とか、土から抜いたばかりの大根だったりとか、そういうのが自然と口に入るので、そう考えてみると労力は凄く少なくなっていて・・・私は田舎の方が、便利ということは勿論ありませんが、豊かだな。と思います。 - 森脇さんの場合は子育てということも田舎への移住の大きなきっかけだと思うのですが、子育て環境はいかがですか。
- このエリア秋津川が過疎地域なので、小学校も人数が少なくて、全校生徒が20名です。保育園もそんなに数が多くないですし、まぁそういう環境というもの自体が、東京に居た頃とは真逆の環境です。ものすごく人の居るところから人の少ないところに移ってくるということで、不安は勿論ありました。それと、習い事などの選択肢も少ないので、どうなのかなと思っていたのも事実です。
その反面、ここでの生活には自然があって、その自然の中で学んでくれるかな。という希望もありつつ・・・実際来てみたら、自然はもう普通に生えてる草とか、その辺にいる虫とか。そういうのでさえやはり東京には無かったので・・・そういうので学んでくれている。学ぶというか、感じてくれているというのをすごく思います。 - でも一番大きく違うなと思ったのは、本当に地域で子供を育てるというか、地域の方が上手に関わってくださるので、ウチの子はすごく人見知りなのですが、東京の時は絶対に関わらなかった近隣の人達、関わりを遮断していたわけではないですが、あえて関わるという機会がなかったのですが、こちらに来ると地域の人達とお祭りだったり色々なイベントで関わって。頻繁に子供たちも一緒にお会いする。
ですので、地域の人達がまさに子供たちを育ててくれているという感じです。学業に関しては全く学校のレベルみたいなものも全然低いと思ったことはないですね。
むしろ人数が少ない分とても手厚く先生方も地域の人達と一緒になってイベントをやってくれるんですね。なので、本当に教育面に関しても地域の人達が、例えばお寺の住職さんが授業をやってくれたり、学校でも沢山の農産物を育てていますが、それも周りの農家さんの協力でやっています。ですので、都会では絶対に得られない体験とか学びの機会が多い。それが地域の人達と一緒に作られているというのが、ものすごくこちらに来て驚いているし、良いなと思っているところですね。 - 生きる力を育む。という感じの子育てのようですね。
- まさにそうですね。学業も大事だとは思いますが、それは私の仕事と同じで、インターネットさえあれば情報は得られますし、今は色々なサービスもあるので、それである程度は十分やっていけます。必要になればその時に都会に出ていけば良いかなと思います。それよりも、田舎ならではの体験というのは本当に生きる力だと感じています。何があっても自分の力で生きていけるということですね。
自然の中で生きていくということや、社会の中で生きていく、人との関わり合いの中で生きていくというのをまさに子供たちは、学んでいるつもりはないでしょうけど、ここに居るだけでそれを感じさせてもらえるというのが、本当にこの地域の魅力だなと感じます。 - 実際お住まいになっている田辺地域の受け入れについてもお聞きします。地域住民の方々との間で、良いコミュニティを築いてこられたとのことですが、やはりこの田辺地域だから、というような思いは抱いていらっしゃいますか。
- 移住してくる前に何回か出張で田辺市に来て、ここが良いなと感じたのが、『人』だったんですね。その『人』の何が良いのかというと、日本海側生まれの私のような人間からすると、すごく南国気質なイメージで。あまり細かいことにこだわらない。わりと大らかに物事を考える人達だな。という部分です。(笑)・・・
- もちろん、1人ひとりは個性がありつつ、全体的に見たときにそういう特性というか、地域性みたいなものがあるなと感じていましたが、まさにこの辺りは、過疎が進んでいる地域なんですが、でも閉鎖的かといえばそんなこともないんですよね。最初こそ、私たちの事をどんな人が移り住んだのだろう。と思って気になったとは思います。
こちらも地域の方々はどんな感じの方たちだろうと気になっていて・・・そんな中、地域に色々なイベントがあるので、そういう行事に積極的に参加しているうちに顔がわかってきて、どんな人かというのもお互いに知り合って行く中で、どんどん仲良くなってきて。 - 同世代のお母さん方、お子さんを一緒にお持ちのお母さん方はもちろんですし、お子さんが大きくなった先輩のママさんパパさん達も一緒になってウチの子供をみてくれているので。ある意味子供が触媒になって繋がりを作ってくれている部分もあるのかと思います。歓迎されているムードというよりは、昔からそこに居たかのような、違和感の無い受け入れられ方をしていただいています。
田舎ならではの距離感って私は忘れていましたが、そんなすごく近いということもなく、必要な時は近いし、そうでないときは別に関わりも日常的にはない日はありますし。とっても居心地の良い環境だな、繋がり感だなと感じます。 - 最後にお伺いしたいのですが、移住をしてみたいと漠然と考えている方も沢山いらっしゃると思います。森脇さんの体験や感じたことで、田辺市に移住してみたいと考えておられる方に、移住に関して何かワンポイントアドバイスできるようなことはありますか。
- 移住する地域との相性もあると思いますね。なので、移住を決めると誰もが『早く住みたい』と思うと思います。私も結構、田辺市に移り住もうと決めてからスピードが早かったのですが、それでも移住するまでに何度も訪れていて、訪れる中で何人もの人に会いました。お仕事を通じてですが、何人もの人達と会うことができたので、それで段々と地域のことが、モヤっとしていたのが、輪郭がはっきり見えてくるタイミングがありました。
- 今振り返れば、それが本当に田辺市に移住しようと思ったタイミングだと思います。なので、焦らずに何度か来ていただいて。
できれば、環境とか施設とか、そういうものだけではなく、簡単ではないかもしれませんが、色々な人との関わりを持てるような機会を持っていただいて、その上でこの地域に来ていただければとても温かく受け入れてくださいますし、仕事に関してもやはり人との繋がりの中で必ず生まれてくるものなので、可能であれば何度か足を運んでいただいて、少し長い滞在をして色々と感じていただいてから来ていただくのが良いのではないかな、と個人的には思います。 - ありがとうございました。
- ありがとうございました。